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少年ハリウッド感想2022 第18話「サプライズケーキは予想外」

 また胸がヒリヒリとするようなシュンのメイン回。この回も見返すのが辛くて、あまり見返していなかった。

 9話では夢と現実のギャップで不貞腐れていたところを、コウさんとの出会いで吹っ切ることができたシュン。その彼がまたつまらなさそうな顔をしているのは、今度は「夢」そのものを見失いかけていたからではないだろうか。

 「世界的なアーティストになる」と口にしていたのに、最近ではギターを持ってもいない。合格したとはいえ、聞いてさえもらえなかった自作の歌よりも、与えられた歌を歌って踊っている方が、女の子にキャーキャー言われる。アイドルとして芸能の世界で活動することで、「世界的アーティスト」へのハードルが、どれだけ高いかを測れるようになってしまった。

 青少年期における「反抗期」と呼ばれるものは、他人に対してではなく、力を持たない・足りない自身への歯がゆさが根底にあると思う。この時のシュンも、周りが気に入らないわけじゃなく、手紙をくれるファンが煩わしかったわけでもなく、なによりも自身への苛立ちが、周囲への態度をトゲトゲしいものにしていたのではないだろうか。

 今は結婚してケーキ屋を営んでいるという、初代少年ハリウッドのリーダーだったランに対して失礼な態度を取るシュン。「正直言うと、かっこ悪いと思ってました」。

 ときに「夢」は目標であり、原動力であり、そして重荷でもある。「世界的なアーティストになる」と、事あるごとに口にしていたシュンは、その掲げた夢の下ろし方を知らず、かつての夢を貶めることでプライドを保とうとした。夢を叶えられず、挫折することが怖かったから。かっこ悪いことだと思っているから。

 そんな態度の悪い後輩に対して、ランがあくまでも穏やかに接することが出来たのは、シュンの苛立ちの矛先を知っていたからだろうか。シュンに言わせてみれば「夢が叶わなかった人」。だけどランは、今でもダンサーになるのが夢だと言った。夢は、ひとつじゃない。夢は、上書きだってできる。大人になって夢を持ち続けることだって、カッコ悪くない。

 今まではぼんやりとした未来が不安で、自分のことすらわからない現状がもどかしくて……。それが、ランの言葉で、不安が希望に、わからない自分自身が、無限の可能性になる。想像を超えた世界は今、シュンの世界をきらめかせている。