きらきらEvery(仮)

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少年ハリウッド2022感想 第15話「守り神が見たもの」

 まさかのキャット視線で描かれる15話。2期から見始めた視聴者にも優しく、キャットのモノローグが字幕として表示され、少年ハリウッドのメンバーや、ハリウッド東京について教えてくれる。それにしてももっとやり方があっただろうに、ここでキャット視線を持ってくる予想外さが、いかにも少年ハリウッドという独特さだ。

 キラがファンのことを「サーモンちゃん」と呼ぶようになったという話をきっかけに、初代少年ハリウッドはファンのことを「オレンジ」と呼んでいた、という話になり、回想に入る。

 これまでライブ映像や、合宿のビデオの中でだけ見ることが出来た彼らの姿が、キャットの記憶を通じて再生される。初代少年ハリウッドをつくりあげた、先代シャチョウを喪ってしまった彼ら。不安げな彼らを「大丈夫です。劇場もあなたたちも、私がキャットと一緒にちゃんと守りますから」と励ますテッシー。けれど程なく、彼らは「解散」を選択する。

 「なあ、もう終わりにしないか」。リーダーであるランが切り出した言葉に同意する者、反対する者。その中で、ゴッドが語った「永遠にオレンジのアイドルでいる方法」。それは、このまま少年ハリウッドを終わらせること。ファンの輝きに照らされているうちに、少年ハリウッドを最高の形で永遠にすること。

 きっとみんな、心のどこかでは、このままではいられないと気づいていたのだろう。彼らはクリスマスイブに、短いアイドルとしての人生にピリオドを打った。雪の中、別れる彼らが語る「未来」は、トミーがみたあのビデオのように、現実を知る私たちの心をヒリヒリとさせる。だからこそ、「いつか戻ってきたいな、ここに」と呟いたゴッドが、再びテッシーの前に、ハリウッド東京に戻ってきたことが、こんなにも嬉しいのだろう。

 ゴッドが2代目シャチョウとなり、ひょんなきっかけで5人のメンバーが集まり、彼らは「新生少年ハリウッド」という名前を得て、今は少なくないファンだっている。だけど、もっと、もう少し。テッシーが提案したのは、ライブ後の握手会だった。ライブの空席も目立たなくなり喜ぶテッシーと、ファンと直接触れ合うことができて楽しそうなメンバーたち。そのなかでシャチョウとカケルだけが、浮かない表情を見せる。

 アイドルとしての彼らは前進しているはずなのに、シャチョウは「このままではこの劇場はダメになる」とテッシーに語る。光の中に一瞬の影が射すような、なんともハッキリしない不安を匂わせてこの回は終わる。2期ではこういった、輪郭のぼやけた不安な要素が横たわっていて、順風満帆に見える彼らの足元をさらうような不安がつきまとっているように思う。それは、1期が光に向かう物語なのだとしたら、2期は、光の中にいる彼らが、その光を永遠にできるか、アイドルでいられるか、ということを描いた物語の性質ゆえだと思う。