きらきらEvery(仮)

書き留めたいことを書く

少年ハリウッド感想2022 第4話「人は死ぬ。いつか死ぬ。でも」

 家庭に関して一番深い描写があるのがキラだ。描写自体は風見家が多いけれど、キラの場合は彼のあり方に、家庭の影響が色濃く反映している。
 エアボーイズ公演が決まり、メンバーは舞台の練習に入っていた。キラは子役時代に培った演技力をここぞとばかりに披露するが、シャチョウには「なんか気持ち悪い」と言われた上に、「今日は帰っていい」と、一人帰されてしまう。
 家に帰り着いたキラは「早かったわね」と尋ねる母に対し、「出来ない人だけ居残りだから」と嘘をつく。「また褒められた」とも。
 キラの母親は、私たちが「子役の母親」に抱くイメージを具現化したように描かれる。子供の才能を盲目的に信じ、信じ込ませ、自分の夢を肩代わりさせるように、期待を背負わせる。親に褒められたい子供はその期待に応えようと必死になる。それは幼少期を終え、少年期に入った今でも変わらず、キラは苛立ちを、こっそりと口の中で、さくらんぼの種を噛み砕くことでしか表せない。
 3話に引き続き、四話では初代少年ハリウッドのダイチが登場する。シャチョシャチョウでいるときには絶対に口にしない弱音を吐いてしまうあたりが。シャチョウもまた、「シャチョウ」という役を演じているのかもしれない。でもそれは、キラとは違って、自分で選んだもの、という大きな違いがある。
 一方、キラの苛立ちは募る。珍しく母親に口答えをしても、その母親は息子に訪れた反抗期に喜ぶ始末。そんな中、舞台の台本が大幅に変更され、キラのセリフがほとんど削られてしまった。抗議するキラに、シャチョウは「セリフのその向こうにある、ひとつ先の感情を表現して欲しいんです」と要求する。
 「セリフ」は、脚本に記された文字に過ぎない。そしてキラが口にする「感動させたい」「元気にさせたい」「笑顔にさせたい」という言葉も、いつか親が描いた、キラが主役の夢という脚本に記されたものだったということに気づく。それを指摘したのはダイチだったが、シャチョウも感じ取っていたのだろう。
誰かの、借り物の言葉ではなく、自分の言葉を、自分の声帯から発する。家では親の望む子供を、外ではプロとして求められるものを。そうやって生きてきたキラにとって、自身から発せれた感情は、刺激的で、衝撃的なものだったに違いない。
キラの中に生まれたエネルギーが、彼の体を突き動かす。走りたいから、走り出す。カケルだけではなく、画面のこちら側まで、力をもらえそうな笑顔だった。