きらきらEvery(仮)

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少年ハリウッド感想2022 第7話「人生に人生はかけられない」

 2話のEDで、あんなに素敵な「子鹿の靴」を披露してくれたカケルが、まさか音痴だったとは。中の人の歌唱力は高いのに、よくこんなに絶妙な音痴具合を表現できたと思う。わかりやすい音痴ではなくて、なんとなく不安になる音痴。少年ハリウッドの持ち歌のメロディーはちゃんと取れてる感じの音痴具合。声優さんってすごい。

 友人と遊びにいったカラオケで「いたましい歌声だな」「頑張れアイドル」と言われたことから、自分は音痴なんじゃないか?と悩むカケル。メンバーのマッキーやシュンは励ましてくれたりアドバイスをくれるが、そのアドバイスを元に自室で練習していたところ、妹の紗夏香から「下手なくせにカッコつけて馬鹿じゃないの?」と辛辣な言葉を浴びせられる。

 レッスンでも歌うことを躊躇ってしまうようになったカケルに声をかけるメンバーたち。そのうちにシュンが歌いだし、他のメンバーも楽しくなって歌い出す。そして歌いながら劇場を飛び出すカケル以外の4人。止めようとするカケルに「♬歌で止めなきゃ、戻らないぜ」と言い捨て、原宿の街に駆け出した。すれ違う人たちに冷たく笑われても、「人前で恥ずかしくないのかな」と言われても、彼らは止まらない。実に楽しそうに街を歌い歩く。それを追いかけるカケルもとうとう、4人に促されて歌を口ずさんだ。その口元には笑みが浮かぶ。

 5人の少年たちはまだまだ歌うことを止めない。「♬人生かけて走るのも違う ♬走るのに人生かけるのも違う ♬それはこの瞬間そのものが人生だからさ」「♬人生に人生はかけらんない~」

 歩道橋を渡りきった時、彼らはちょっとした原宿の有名人になっていた。通行人たちが彼らに注目している。せっかくだからアレをやろうと提案するマッキー。見物客に囲まれて、彼らはあの、1話で披露した世にも恥ずかしい自己紹介をやりきった。1話と比較してほしい。5話のエアボーイズで「役」の力を借りて舞台に上がるという経験を経て、彼らは「何かになる」力を手に入れた。シャチョウから一方的に与えられたものを、ようやく自身のものとして表現するに至った。「♬我ら『少年ハリウッド』~」

 「アイドル」を表現する彼らの姿を、もしかしたら笑う人もいたかもしれない。けれど彼らはやりきった。彼ら自身は少年ハリウッドであろうとした。「新生少年ハリウッド」の器を与えられた彼らはようやく、「少年ハリウッド」に、アイドルになったのだ。