きらきらEvery(仮)

書き留めたいことを書く

少年ハリウッド感想2022 第11話「望まれない僕たち」

 彼らの視線が「外」に向けられるということは、自分たちが「外」から見られる可能性に至ったということでもある。クリスマスライブを前に、その視線を意識して、ギスギスとしていくメンバーたち。おそらく、チケットの捌け具合が芳しくないのも、メンバーのなかにある不安を膨らませているのだろうけど……。

 そんな中、カケルはふとしたきっかけで、初代少年ハリウッドのファンからの、心無い書き込みを見てしまう。「少年ハリウッドって、復活する必要あるのかな……」

 カケルの母に、友人を連れてライブに行くね、と言われてカケルの取った態度。憧れの少年ハリウッドとして初めてのライブを迎えるというのに、同じ施設の子どもたちに「ライブに行きたい!」と言われ、歯切れの悪い返事をするトミー。それはきっと、思春期の気恥ずかしさや反発ではなくて、自分たちの力、可能性を信じきれない自身のなさがもたらすものだったのだろう。

 「お客は来る」と楽天的にメンバーを鼓舞するマッキーも、「客なんて来ない」と、ネガティブなことを口にして予防線を張るシュンも、その根底にある不安は同質のものだったと思う。練習をサボって、クリスマス仕様できらめく街を、友人と遊ぶカケルも……。

 そんなカケルが、友人といるところをマッキーに見つかり、視線があってしまう場面。マッキーが一瞬、ほんの一瞬だけ、気まずそうな顔を見せるのが、そしてすぐに笑顔を見せるのが、マッキーという人物を端的に表していると思う。

 1話からずっと、自分の未来を、行き先を、ぼんやりと不安に思っていたカケル。現状に不満が有るわけではない。何になりたいわけでもない。けれど、このままこの道を進んでしまって良いのだろうか。「君のものだよ」と、渡された地図があれば、迷わずに進めるのに───

 そんなカケルの前に落ちていたのが、マッキーが作った、クリスマスライブのチラシだった。そしてそこに描かれた、ハリウッド東京への地図。歩道に捨てられ、雑踏にまみれたそのチラシが、カケルにとっての道標になった。