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少年ハリウッド感想2022 第3話「彼らの未来」

 少年ハリウッドにおける大きなテーマの一つである「永遠」。それが初めて色濃く出た回だと思う。それまで二次元のアイドルといえば、三次元と違って年を取らない(取ったとしても老いたりはしない)というのが大きなアドバンテージの一つであると思っていた。画面の中で輝くアイドルたちの、少し未来の姿は想像することがあっても、彼らがアイドルでいられなくなるほどの時間の先には思いもよらなかったし、思わないで済むことが二次元を愛する幸福だと感じていた。そんな固定観念を吹き飛ばしたのが、この3話だった。
 新生少年ハリウッドの5人のメンバーのうち、一番「少年ハリウッド」に強い思い入れがあるのが、富井大樹だ。少ハリの面白さの一つに、5人のうち、誰も純粋にアイドルになりたいという夢を抱いてハリウッド東京に来たものがいないということもある。あえていえば、この富井大樹が一番、アイドルになりたいという気持ちに親しいと思うが、正確に言えば彼が憧れているのは「少年ハリウッド」であり、アイドルそのものではないのだろうと思う。
 彼が少年ハリウッドに憧れを抱いているのは、初代少年ハリウッドのメンバーである富井実、通称トミーとの出会いが大きなきっかけだ。児童養護施設で育つ彼の前に現れたのは、同じく施設で育った富井実だった。すでに少年ハリウッドとしての活動を終え、今は俳優として活躍を始めていたトミーとの出会い。彼への憧れが、ひいては少年ハリウッドへの憧れとなり、ハリウッド東京のドアを叩いた。

 ある日のハリウッド東京に、彼の前にその憧れの人である初代・トミーが現れる。初代少年ハリウッドのトミーは、新生少年ハリウッドの富井大樹に「トミー」という愛称と「運気上昇担当」を託す。「僕が少年ハリウッドのトミーとしてサインをするのはそれが最後だよ。今は、君が少年ハリウッドのメンバーなんだから」
 「トミー」の名を受け継いだ富井大樹が掃除の途中に偶然見つけたのは、初代少年ハリウッドの合宿のビデオだった。15年前の夜、彼らが照れながら語った夢は叶っていないことをトミーは知っている。「永遠にアイドルは無理なんですよ」そう語る、初代のマネージャーでもあった勅使河原の言葉を15年前の彼らは知る由もない。初代メンバーの一人・ゴッドは「僕は永遠のアイドルでいたいです」と笑顔でそう告白した。「ずっと少年ハリウッドでいたい」という願いを口にしていた初代トミーの願いも、もちろん叶っておらず、それどころか現在では連絡を取っていないメンバーもいる。これからアイドルとして活動していくトミーに突きつけられた現実。他の誰でもない、誰よりもアイドル…というよりは少年ハリウッドに憧れ続けた彼だからこそ、受けたショックは大きかっただろう。
 永遠にアイドルではいられない。それでも、トミーはメンバーの前で、「今日から『トミー』です。ちゃあんとトミーって呼んでくださいね」と笑顔でステージの上で宣言した。叶わなかった夢、叶えられない夢、続かない永遠、その現実の欠片に触れて、それでも少年ハリウッドを愛するトミーの強さが眩しい3話だった。